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【怖い話】フランス人形の恐怖体験

私が幼稚園のころの体験談です。
遠い親戚に貿易会社をしているお金持ちがいました。
家は洋風の一戸建てでとても大きく、家の中も海外の珍しい置物がたくさん飾っていました。
遠い親戚なので、何年かに一度会うかどうかという浅い関係でしたが、
会うときは海外の珍しいお菓子等を持ってきてくれて、幼心にもわくわくしたのを覚えています。
ある時、親戚宅を訪れる機会がありました。
法事かなにかだったでしょうか、多くの親戚が集まりました。
大人たちは世間話と宴会に花を咲かせている間、子供達は家の中を探検して回ることになりました。
もちろん大人には内緒です。こっそり子供達だけで親戚の集まっている大部屋を抜け出しました。
洋風の家の中は珍しいものでいっぱいでした。子供達ははしゃぎながら一部屋一部屋中を確認しながら家の中を探検していきました。
その中の一室に洋室の応接間がありました。大理石のテーブルを挟んで、革張りのソファが置かれ、天井にはシャンデリアがありました。
棚には、海外の珍しい置物が所狭しと並んでいました。その中に、フランス人形が何体か置かれていました。
金髪をくるくる巻いて、ドレスを着た人形達です。
それを眺めていた私は、1体の人形に違和感を覚えました。
本当に違和感としか表現の仕様がないのですが「何かおかしい」と感じたのです。
他の人形とはあきらかに違う、でもなにが違うのかわからない…そんな奇妙な感覚のまま、私はその人形をもっとよく見ようと顔を近づけました。
すると、その人形の目がギロッとこちらを向いたかと思うと、手を振り上げて私の額をベシッと叩きました。
びっくりした私は、驚いて1歩後ろに下がりました。
運の悪いことに、私の後ろにいた、私より幼い親戚の子に体当たりする形になってしまい、その子が転んで泣いてしまったのです。
大人たちが騒ぎを聞きつけてどやどやと応接間に入ってきました。
続きです。
勝手に探検ごっこをしたことを怒られ、幼い子を泣かしたと怒られ、私が人形に殴られたと弁明しても信じてくれませんでした。
大人達は、子供達を連れて大部屋に戻りました。わたしも連れられましたが、納得してないし、人形の件を誰にも信じてもらえなくていじけていました。
大部屋に戻っても、私は部屋のすみっこでずっといじけていました。
そのうちに、周りの大人や子供達は、宴会やお菓子で盛り上がっていました。
みんながそれに夢中になっている隙をついて、私は大部屋を抜け出しました。
もう一度あの人形を確認しようと思ったのです。
応接間に戻った私は、人形をよく観察しました。
そして、これは人形の形をした「何か」だと思いました。
昔話にでてくる人間を化かすたぬきかきつねだと思いました。(子供の発想です。)
人形の顔を眺めているうちに、人形の振りをしたまま動かない「それ」に無性に腹が立ってしまい、「逆さ吊りの刑」に処すことにしました。(子供の発想です。)
人形の足をガッと掴み、持ち上げて逆さにした後、ドレスの裾をひんむいて「パンツ丸出しの刑」も追加することにしました。(子供の発想です。)
人形を逆さまにしたまま、ドレスのすそを持ち上げようとしたその時、人形の頭がずっ…と動きました。
あっと思ったときにはもう遅かったのです…。
人形のカツラがむけて、ハゲ頭が丸出しになってしまったのです…。
人形のみすぼらしいハゲ頭を見てしまい、子供心にもやり過ぎた…と後悔の念と罪悪感が心に芽生えたその時…、
大部屋に私の姿が見えなくなったのに気付いた母が応接間に入って来ました…。
怒られました、超怒られました。げんこつ付きでした。
親戚も苦笑いでした。しかし、人形自体に傷はなかったので、平謝りですみました。
大人になったある日、お宝鑑定団で似た人形を見て、その値段に心中修羅場ったのは後日談ですが。
その後、子供のいなかった親戚が亡くなると、会社も家も人手に渡ったと聞きました。
人形はどうなったのか…、本当に「何か」が入っていたのか、今となっては分かりません。
しかし、人形の青い目が光りこちらを向いた瞬間を今でも思いだすことができるのです。