【恐怖のひな祭り】古い雛人形の恐怖体験恐怖・怖い話

【恐怖のひな祭り】古い雛人形の恐怖体験

恐怖 雛人形

私が幼稚園のころのことです。

うちは2人姉妹でしたが、家にあった雛人形は段飾りの立派なものではなく、
ガラスケースにちんまりとおさまった雛人形セットでした。
ひな祭りの頃になるとケースごと居間に飾られ、時期が過ぎると棚の上に
置かれる程度のものでした。
それでも一応、お雛様・お内裏様・3人官女が揃っており、箪笥や牛車、 
造花の桜と橘、木でできた菱餅や小さな道具類が並べられていました。 
糸のような目におちょぼ口。見ようによっては笑っているようにも見えます 
が、全体的にはむしろ無表情なものでした。 
私は雛人形には興味もあまりなく、ただミニチュアのようなお飾りだけを 
愛でていました。

ある夜中、私はトイレに起き出しました。 
トイレは居間を横切った向こうにあります。 
つまり行くときにはケースに背を向けていましたが、戻るときに、 
ちょうどケースの中身が見えたのでした。 

薄暗い居間のケースの中で、雛人形がいっせいに、音もなく首を 
左右に振って笑っていました。 
糸のような目はそのままでしたが、おちょぼ口はニンマリと左右にのび、 
なんともいえない邪気を発しているようでした。 
私は転げるように部屋に戻り、布団をかぶって震えて夜を明かしました。 
その後は特に怪異もなかったのですが、その時以来私はひどい人形嫌い 
になってしまいました。 
その人形はいまだに実家に飾ってあります。雛人形の首がはたして左右に 
揺れるものかどうか、たぶんしっかりねじ込まれていて揺らすことなんか 
不可能なんだろう、とは思うのですが、手にとって確かめる勇気は30年 
たった今でもありません。